先日完成したHERMESと同じオーストリッチ皮革を厳選し贅沢に使ったオーダー長財布と名刺入れ。
インナーは2色使いのバイカラーで仕上げました。カード室がバイカラーですと40枚のカードの使い分けに分かり易く重宝致します。カードの使い分けでも色々パターンが楽しめるお財布になっています。
カード室はなんと40室。
全てのカード段にFULLBRIDGEデザインを然り気無く入れてあります。
なかなか類を見ない収納力の高いお洒落で個性的な長財布に仕上がりました。
お札入れ(メイン室)は100枚以上収納可能。通しマチ仕様になっていますのでたっぷり入れられます。
その他に領収書入×1室+その他1室
カード入れのところはお客様が
『丈夫にして欲しい』と相談されたので、Wステッチで頑丈に仕上げました。
丈夫さとデザインさを重ねた仕上げに。カード段のみダブルステッチのお財布がこんなにカッコイイとは思いませんでした。新しい発見です。
ダブルステッチになるので採寸も良く考えないと大きくなってしまい変なstyle仕上がりになるのでその辺りも考慮しています。
Wステッチは初めての試みだったのですが、仕上がると見た目はデザイン?と思う程で思っていた以上にカッコ良いなと感じました。今後の提案材料で丈夫にしたいと言うお客様には提案したいと思いました。
角はスクエアカットにしメンズライクさを主張。
オール切り目(コバ)本磨き仕上げ
分からない人はHERMESと同じ仕上げと思ってもらえば。手間が非常にかかる仕上げです。安価なお財布やバッグはコバ(切り目)仕上げではしていません。なんでも価格には理由があります。もちろんそこまで拘りを求めていない人に説明する必要はありませんが。。
工程が多く手間が掛かりますが全てコバ(切り目)本磨き仕上げで仕上げています。
コバ(切り目)仕上げは手間がかかる分、先ずは見た目がスタイリッシュである。利点としての最大の特徴は修理も綺麗に利くので(でも修理する場合も容易ではありません、再度コバ仕上げのみをする場合も残インクを全て綺麗に削り取り、再度インクを塗り→乾燥させ→磨き。この作業を最低5回~10回繰り返します。手で触って面が滑らかになり満足いけば完成です。また解体して修理する場合は解体する予定がないモノを解体→修理→カード段など内側コバ仕上げ→組み立て→乾燥→縫製→外周コバ仕上げ(最低5回)して修理完成するので、修理も容易ではありません)コバ仕上げはハイブランドも含め世界的に認められている仕上げ手法です。
オーストリッチの説明に戻ります。
オーストリッチの羽毛を抜いた後の突起した丸みある軸痕(Quill Markクイルマーク)が他の皮革にないユニークさと魅力を持っています。
ここ数年、私がオーストリッチの魅力に強く引かれているので、ここ半年くらいはオーダー相談依頼されるお客様はオーストリッチのオーダーが多く人気です。オーストリッチの色バリエーションは、クロコダイルより多いので変わった個性的な色を選べるのも人気のひとつです。オーストリッチは巷では婆臭い爺臭いと言われているのでデザインをスタイリッシュにしないといけないので少し上級者向けファッションになるのかと。スタイリッシュなデザインからカラーコーディネートまでフルトータルで考えるのも私の仕事です。
もちろんFULLBRIDGEでは染めの別注も受け付けていますので染めればクロコダイル、パイソン、オーストリッチ、リザードも世界に1色で染められます。別注で染める色打ち合わせも相当に面白いです。別注で染める場合は1枚からは受け付けていませんのでご了承ください。
私がオーストリッチを厳選する時は等級や傷、強いシワなどは論外、さらにクイルマーク(羽根を抜いた跡)の流れが美しく揃っていなければ、本当の魅了を感じる事は出来ません。またクイルマークはオーストリッチ皮革1枚の40%程度(残りの60%はクイルマークがない)しかないので取るサイズも気にしなくてはいけない事もあるのでクロコダイルやオーストリッチなどは初心者や素人では扱いが非常に難しい高級素材です。鋤くのも牛革に比べ凸凹があり難しいので、牛革しかやった事がない人には不可能です。
私が厳選する時はかなりの枚数を見るのでとても時間がかかりますが、良いものを選ぶ為には自分の目で丁寧に1枚1枚見る限り近道はありません。もちろん厳選しないで電話で伝えればそれは時短ですが自分の目で確かめる事がやはり納得満足がありベストです。
オーストリッチ(ダチョウ)の羽根を抜き突起した毛穴(クイルマーク)が、まるで真珠を散りばめた様に見えませんか?
私は厳選したオーストリッチ皮革を見て触り、いつも真珠の様だな~と思ってしまいます。
HERMESもこの突起したクイルマークはニットの引っ掛けの原因になる事から丁寧にクイルマークをプレスしてフラットな仕上げをしています。今回のこのお財布も全てのクイルマークを丁寧にプレスしています。
もちろんFULLBRIDGEではオーダーメイドで1つ1つ作りますので、プレスするか、プレスをしないかを選択出来ます。ワイルドな仕上がりを希望されるお客様はノープレスを希望します。
その辺りの仕上がりイメージなどはどうしたら良いかなど分からなければ、お客様の雰囲気やライフスタイル、お仕事に似合ったスタイル、色などをご提案致しますので、オーダー時にご相談頂ければと思います。
名刺入れとセットで仕上げました。名刺入れはキプロスグリーンでビジネスカラー。
S社長オーダーご用命ありがとうございます。
先日完成したアクアノート×ガルーシャストラップです。
下記画像は加工完成後にガルーシャストラップを取り付け撮影。
下記画像はフルブリッヂに入庫された(純正ラバーストラップが付いた)時の写真。
先ずはこのパテックフィリップスポーツモデルのアクアノートについて少し語りたいと思います。
余談ですが、時計に詳しくない女友達にいくらするかアクアノートの写真を見せて聞いたら
『3万円くらい?』と言っていました。分からない人にはシンプルでベルトがラバーなのでそう見えるのかもですね。時計好きには面白いネタ?になるのかもしれません笑。
パテック・フィリップは1839年5月1日に2人のポーランド人のアントニ・パテックとフランチシェック・チャペックによって創業。スイスのジュネーブで設立。創業当時から「芸術 作品」の追求に余念がなく、クオリティも常に最高級を指標し続けているマニュファクチュール(自社一貫 生産)ブランドです。
パテックフィリップスポーツモデル モデル名「アクアノート」
1997年代に誕生した新世代コレクション、アクアノート。アクアノートは正規店や例え美品中古でさえもなかなか入手が難しいプレミアムモデルです。思ったよりとても軽くシンプルで全てが美しくずっと観てても飽きない世界三大時計マニュファクチュールブランドのスポーティさとエレガントさの2面性を持つ、普段使いが出来る機械式高級スポーツウォッチです。今ではラバーストラップを付けた機械式高級時計のモデルは多くありますが、これはラバーストラップを付けた先駆けの高級スポーツウォッチのモデルと言えるでしょう。
パテックフィリップはアメリカのティファニーに懐中時計の供給をしていた事も有名ですね。パテックフィリップは世界最高峰の「工芸品」としての時計を生産する時計界の頂点と言えるでしょう。非常に歴史も深く、パテックフィリップは低価格帯の中古品でもゆうに車一台買えるような高値で取引され続けています。
全てのモデルが非常に人気が高く入手困難である為、プレミアムがついて販売されていたりするケースが多く、投資用(時計好きな投資家も含め)として考えている人も少なくはないと思います。
パテックフィリップは2世紀以上も続く中で、「自社製品であれば永久的に修理する」と明言しているのです。実際「親から子へ」を継承出来るブランドコンセプトからもその姿勢が並大抵のものではないことが伝わります。だからこそパテックフィリップが「一生もの」であり、100年後も「家宝」と言える存在なのだと感じ取れます。
保証期間の通常2年間が過ぎたパテックフィリップについては有料修理であり、オリジナル部品を長期保持保証するものではなく、オリジナル部品の在庫がなくなった時はオリジナル部品を使った修復ではなく、製造可能な代替部品を使っての修理メンテナンスとなる。その場合、必要な代替部品を新たに製造や加工するコストは個々のユーザー負担となり、その時は時計の購入価格を大きく超える修理代金を請求されるケースがあります。
また、パテック・フィリップはオークションで古い自社時計を高値で買い戻すことによって、「パテック・フィリップの時計の中古市場価値を保たせる」というビジネス戦略をとっています。その結果「パテック・フィリップの時計は一生もの」というブランドイメージの宣伝にも役立っています。
よく経営者は良い時計をしている(する)と言いますが、それは長いブランド経緯、一言では言い表せないですが、例えば創業130年250年を超える中、今なお他社資本の参入を1度も許さず、創業家経営(独立企業)を貫く珍しいブランドがパテックフィリップ、オーディマピゲ。そしてパテックフィリップ、オーディマピゲも同様、時代や世代を超越して長い間人々を魅了し続けられる唯一無二の傑作であることが、世界の経営者たちの購買力に関係しているのだと、そう私は感じます。
巨大資本を元に時計メーカーは次々と買収されていき、各グループの傘下に入っていきました。
高級時計業界はグループ対グループの競争へと変わってきているのです。有名なグループとして挙げられるのは「スウォッチグループ」「リシュモングループ」「LVMHグループ」です。
買収というとあまり聞こえはよくありませんが、各時計メーカーは海外巨大資本の傘下に入ることで、安定した基盤の中で時計製造を行うことが可能となるメリットがあります。今や高級腕時計は巨大資本無しに生き残ることが難しい世界になっているのだと思います。
極限にシンプルにしたフェイス。私も時計が好きなので、遊びで休憩がてらデザインしたりしますが、こういったシンプルなフェイスは初めにデザインを考えるベースとして、参考にしたいと思います。やっぱりアクアノートの良い所は、全くオラオラした感じもなく、知的で少し控えめなところがとてもロングコンセプトで魅力的です。カジュアルにもスーツスタイルにもドレス(フォーマル)な場にも決して見劣りしないオールマイティであり優秀な機械式時計かと思います。
フェイス面のところはマット調ステンレスで、サイドは鏡面仕上げになっています。
船の舷窓からインスピレーションを得た丸みを帯びた8角形のケース、....
例えば例に挙げるとAPロイヤルオークを丸く創造して薄くして全てのネジを取った様なイメージに感じられます。
そう感じると思った方にここでまた少し語ります。
ノーチラスからインスピレーションを得て創作されたこのアクアノートの元の時計のデザインとなるノーチラスのデザイナーは「ジェラルド・ジェンタ」。
代表作はやっぱりオーデマピゲ(AP)・ロイヤルオーク(1972年発売)ですね。全体的に角ばったデザインで特徴的な八角形のベゼル枠、そして文字盤周りに埋め込まれたビス。シンプルだがゴツいのに針や文字盤が上品な仕上がりでエッジ角のメリハリ感に男心が刺激されます。ちなみにオーデマピゲもパテックフィリップ同様、自社製品であれば永久に修理することを掲げています
時計デザイナーのジェラルド・ジェンタさんは他にも
オメガのシーマスター、
ロレックスのオイスタークォーツ デイトジャスト
カルティエのパシャ
ブルガリのブルガリ・ブルガリ
など有名モデルのデザインを残してきました。
ジェラルド・ジェンタさんは素材やムーブメントで時計を選ぶのではなく「デザインで時計を選ぶ」という方法を市場に定着させたと言ってもよく、1972年を境に腕時計のデザイン(そして考え方)は大きく変わったとも言われます。
※同一デザイナーのためパテック・フィリップのアクアノート/ノーチラス、オーデマ・ピゲ・ロイヤルオーク・オフショアは「八角形」という共通のデザインモチーフを持ち、文字盤だとアクアノート/ロイヤルオークは共通のワッフル(APだと”タペストリー”)状デザインとなっている。
2011年8月、ジェラルド・ジェンタさんは80歳でその生涯を終え、残された多くのハイブランド時計の洗練されたデザインで生き続けていると言えるでしょう。私の人生も少し似た様な思いにそう願っています。
裏は美しく仕上げられた自動巻キャリパー機構が良く観察出来る様に、シースルーバックル(裏スケ)になっています。振動を与えると長い間回り、秒針は思っている以上に動き続けるので、本当にパテックの21K製で出来たローターは重く良く回り他社に比べ優秀でスゴいなと思います。
因に部品総数は213パーツ。パワーリザーブは最大45時間(最小で35時間)。
左下に刻印されているPを2つ重ねた刻印、PP刻印がパテックフィリップシールです。
以前は高精度を証明するジュネーブシールが刻印されていましたが2009年から独自の精度テストを行い その証明としてPPシールを刻印する事になりました。
ジュネーブシールのパテックフィリップをは希少となってきました。21Kで出来たパテックフィリップは例えケース素材がステンレスモデルでも中身が観ての通りPPシールが付いた機構美学と今までの歴史的技術が詰まっている事から相応の価格となるのだと感じられます。
ベルトのオーダーなので、先ずは純正ラバーベルトを丁寧に外します。
オーダー入庫されたアクアノートが2つ。片方は違うお客様より依頼されたアクアノートのワールドタイム。ワールドタイムの方は金具移植の為、やり方詳細は企業秘密なのですが、かなり試行錯誤しました。分解しテストするにあたり時間が思った以上に経過したのでワールドタイムの方はお客様相談後、今回は返却となり違う時計が入庫しました。でもアクアノートの金具移植はゴールは見えたので今回勉強になりました。アクアノートで金具移植して純正と同じ様なスタイルを希望しているお客様は是非チャレンジさせて頂きたいと思います。
かなりオーダーストラップの話しからズレましたが、今回のガルーシャストラップを取り付けたアクアノートです。
純正ラバーベルトと比べると全く違う存在感となりました。
お客様のご希望で時計本体側の4ヶ所に白い糸でステッチを各2周入れました。
硬いガルーシャに綺麗に念(線)を入れ、メリハリ良く高級感も上手く出せたかと思います。
ガルーシャに念は他社ではなかなか難しい事かと思います。
お客様はよく汗をかくと言う事なので、裏地にはフルブリッヂ別注の時計ベルトに使える様に薄く加工した拘りのラバー(黒のみ)をインストールしました。
サイドはコバ(切り目)本磨きで仕上げました。インクは黒色です。
今回は特に外装に大きな傷等は見当たらなかったので、磨きなしはしませんでした。お客様のご要望に対しては磨き直しからオーバーホール(分解洗浄)をストラップオーダーの際に行います。
もちろんパテックフィリップ純正Dバックルに合う様上手く加工してあります。カチッと閉める際は純正ラバーストラップよりかは(ガルーシャなので馴染むまでは)多少硬く感じるイメージです。
出荷の際は慎重厳重に梱包し出荷準備致します。
オーダーが上手く重なると有名時計が多く入庫され素敵な1枚が撮れます。
時間を忘れ、つい何枚も撮影してしまいます。
暗くすると蛍光塗料が綺麗に発光しています。
ご用命ありがとうございます。
2017/12/29(金)〜2018/1/5(金)までとさせて頂きます。
メールや電話の問い合わせは常時受け付けています。宜しく願い致します。
某ブランドさまより。
ムーブメントはスイス製でイタリアブランドの時計メーカーからのご依頼です。
本国にガルーシャのベルトをオーダーすると2ヶ月〜3ヶ月かかり、それでは間に合わないと言う事で日本国内に同レベルの仕上がりで製作出来るところをさがしてFULLBRIDGEに辿り着いた様です。
時計取り付け部分には凹型に切り込みが入っているので、製作依頼されても断るところが殆どかと思います。その理由はガルーシャ皮革は人間の歯や骨と同じリン酸カルシウムに覆われている為とても硬いので凹型に切り込みが入った加工は、微妙なサイズ合わせも含めとても大変で労を費やします。
別の角度から話すと、黒でもガルーシャはポリッシュでもキャビアでも微妙に加工や染めている工場で違い、色々と種類があるので、見本で借りたベルトと同じ様な表面の表情をした皮革をチョイスしました。
ある人は同じと言いますが、私は色々と多く観ているのでその違いに気付きました。メーカーはそこまでの指示は(分からないので)ありませんでしたが、なるべく同じ仕上がりでお願いします。と言われたので、それになるべく答える様に深く注意しました。
奥の少し曲がっているベルトは預かった(サンプル)ベルトです。
メーカーさんのご希望通り同じサイズ形で作りました。
奥の少し曲がっているベルトは預かった(サンプル)ベルトです。
メーカーさんのご希望通り同じサイズ形で作りました。
コバ仕上げですので、得意のビカビカに綺麗に仕上げました。コバをビカビカに綺麗に仕上げるには7日〜10日程かかります。
コバインクはヨーロッパのハイブランド御用達のを使用していますので丁寧に時間をかけて仕上げればそれに答える仕上がりになります。
ご用命ありがとうございます。
フルラお財布のフリンジ修理です。
純正のフリンジの外周を巻いている皮革(牛革)が取れてなくなってしまった様です。
弊社ではクロコダイルのオーダーメイドがメインですので、牛革で同じ色もないので、それでしたら似た様な色合いでクロコダイルの皮革をアクセントで巻く提案をしました。
クロコダイルのアクセントでクラスアップしましたね。HPからの問い合わせでした。ご用命ありがとうございます。