エルメス(リザード素材/リングトカゲ)の長財布の修理依頼(リフォーム)が入りました。
以前に時計ベルト(+時計本体磨き直し、オーバーホールのフルコース)をオーダーしたお客様からのご依頼でした。
見る限りお財布に限界がきています。ストラップ部分は完全に縫製糸が外れ心材も丸見えです。
お財布の中央部分は何度もopen closeを繰り返すので同じところに負荷がかかり、縫製糸もコバインクも全て無くなっていました。
小銭入れの中央部分には、外の金具の部分があたり、お財布に負荷がかかっている為、剥げていました。
今回の診断した結果、リフォーム作業メニューは
① 縫製
A: ストラップ周りの糸切れによる革剥がれ
ストラップの箇所は中芯にボンドの形跡がないくらい乾燥させます。
芯材を綺麗なものに張り替えてベロ周りをしっかりと縫製致します。
B: 上下真ん中の糸切れ(お財布の折り返し部分)
乾燥により表面、裏地(裏面)の皮革がかなり開いています。
しっかりと張り合わせた後に縫製をかけます。
② クリーニング
表面のリングトカゲの箇所は手垢手油などを綺麗に取り除きます。
中面はゴートの革です。全体のダメージの割には汚れ感は少ないように感じます。
こちらもクリーニングで出来る限り汚れを取り去ります。(小銭入れファスナーの中面も含む)
ファスナーポケットの下の皮革剥がれは出来る限りボンドで皮革を貼り目立たないようにリカラー、栄養を入れていきます。
③ コバ剥がれ
全体の縁廻りのコバ剥がれとそれによる四隅の皮革剥がれや破損も進んで傷んでいます。四隅の皮革をしっかりと密着させてから全体のコバを綺麗に磨き、コバインクを塗り、乾燥、磨き、この作業を繰り返し、10日以上かけて丁寧に時間をかけて仕上げていきます。
④ 染色と栄養
表のリング模様が消える為、表のお色のせはせずにクリーニングの後に栄養をしっかりと入れてから磨くと皮革は元気になります。
裏面のゴートは補色をすることにより皮革が剥がれている個所が一層目立たなくなります。
以上、かなりのメニュー工程になりました。作業途中内容は(作業に支障が出るので)文章、写真省略させて頂きます。
コバ処理は、FULLBRIDGEの最大の得意分野でもあります。丁寧にコバインクを塗り、乾燥、磨き、この作業を繰り返し、10日以上かけて丁寧に仕上げていきます。実際の日にちは、天候や湿度が影響してくるので、その時によって納期は変わってきます。綺麗に丈夫に仕上げる為に、労を費やします。コバ磨きは私のエゴです。この磨きの苦労を分かってくれる人に分かってもらえれば良いです。笑。
どうですか? フルリフォームして生まれ変わり、また普通に長い間使える程に仕上げました。
コバもタップリ、インクを何度も重ね、十分乾燥させ、磨き、なかなか剥げない様に丈夫に仕上げました。コバインク色も純正色に似せて調合して作っています。もちろんインクもハイブランド御用達の優秀なイタリア製インクをFULLBRIDGEにて強化調合して世界最強??のインクを使っています。
小銭入れの中央部分の剥げていたところもリカラー、栄養で綺麗に仕上げました。
納期は2ヶ月強でした。Nさまご用命ありがとうございます。
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